シリーズ『くすりになったコーヒー』


 新型コロナにまつわるコーヒーの話題として、前回「気道の苦味受容体」について書きました。この話題には信頼できるエビデンスがあるので、フェイクになる心配はほとんどありません。しかし今回紹介する話には、100%信頼できる証拠が欠けています。それでもここに書くわけは、「もしほんとだったらすごいね」と思うからです。


●禿げている人は感染しやすいし重症化もする(詳しくは → こちら )。


 発表された感染状況を見てみると、新型コロナの感染者は男性が多く女性が少ない傾向にあります。男女差の比率は58:42で、男性の方がほぼ1.5倍ということです。


 理由は何かとの考察で、この論文にはアンドロゲン(テストステロンなどの男性ホルモン)が関与していると書いてあります。


●アンドロゲンは、気道表面のタンパク質TMPRSS2を活性化して、新型ウイルスの感染を手助けしている。


 TMPRSS2とは、急性膵炎治療薬ナファモスタット(商品名はフサン)で抑制されるので、東京大学などが治療薬の標的として臨床試験を行っているところです(第407話を参照)。アンドロゲンはフサンとは逆の作用を示し、その血中濃度が高ければ高いほど感染し易くなり、かつ重症化もし易いと考えられるのです。


 男性のアンドロゲン血中濃度は女性より高いので、それが新型コロナの感染に性差が見られる原因になっているとのことです。では重症化はアンドロゲンの血中濃度によるのでしょうか?どうやらそうらしいのです。



新型コロナ感染の男女差についてはデータがない(詳しくは → こちら )。


 実際にどのくらいの差があるのか、NYTはさらに書いていますので、日本語訳でご覧ください(詳しくは → こちら )。もっとわかりやすく言えば、アンドロゲンが多い男性は毛髪が薄く、脂ぎった体質で、筋肉が発達して力強いのです。もう1つは女性に対して強く興味を示す性格でもあるようです。そしてこういう人が感染し易いとなりますと、次のような事実に納得してしまいます。


1.アンドロゲンが少ない女性は男性より感染しにくい。


2.思春期未満の男性は成人より感染しにくい。


3.赤ちゃんはほとんど感染しない。


4.前立腺癌患者は感染しにくいが、抗癌剤で治療中は例外になる。


 では、よく言われている感染し易い人に分類されるのは、加齢、免疫力低下、糖尿病、心臓病などの持病持ちの人・・・との関係はどう理解したらよいのでしょうか?これについては、「どれもがリスク因子の1つ」としか言えない現状です。


 最後に、コーヒーとの関係です。


●コーヒーを毎日飲む人は生活習慣病になるリスクが低いし、かつ重症化しにくいので、その分だけ新型コロナにも強いのではないか・・・まだ確たるエビデンスはありません。


(第408話 完)



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