戸塚区の中心に位置する


新薬が患者に届く喜び


 一方で、中外製薬の創薬のユニークな状況をアピールするには「いいタイミング」にある。というのも、18年の血友病治療薬「ヘムライブラ」に続き今年は発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)治療薬「ピアスカイ」が日米欧3局で承認を取得するなど、自社創製品でアピールできる製品やパイプラインが揃っているからだ。井川本部長は、この絶好の機会を活用して、中外製薬の創薬の面白さを積極的にアピールすることで、海外での知名度をさらに向上させていきたい考えだ。


 ちなみに井川本部長自身も、ヘムライブラの研究に携わっていた。自分が携わった薬剤が実際に患者の手に届き、反響があったときの喜びはひとしおだという。「創薬研究者は『くすり』になることがうれしい」。中外LSP横浜を次々と新薬を創出する研究所とすることで「その経験を少しでも多くの研究者に味わってもらいたい」と願っている。


 さて、大型研究所の新設として記憶に新しいのは、武田薬品の湘南研究所だろう。グローバル創薬拠点として開設したが、大型品の創出にはつながらず、運営コストが重くのしかかり、結果的には売却されアイパークインスティチュートが運営することになった。


 中外製薬は、研究所を統合すると「製品が出なくなる」というジンクスを打ち破ることができるのだろうか。