分子標的薬の登場で治療が格段に向上した慢性リンパ性白血病(CLL)。ここ数年で複数の薬剤が承認を取得、治療選択肢が増えている一方、診断が難しいといった課題もあるようだ。自身もCLL患者で、20年に設立した「CLL患者・家族の会」の齊藤治夫代表に会の活動内容や現状を聞いた。



——設立の経緯は。


齊藤 血液がんの患者会を運営している人から設立したらどうかと提案されたことがきっかけだ。CLLは患者数も少なく、CLLだけを取り上げる血液がんのイベントもあまりない。私自身もCLLと診断されたときに、ネットで調べたり、セミナーに参加したりすることで情報を集めていたが、取り上げられる機会が少なくずっともやもやしていた。そんななかで、背中を押されたこともあり、CLLと診断され悩んでいる人もたくさんいるのではないかと考え、立ち上げることにした。



——会員数は。


齊藤 およそ60人だ。悩みが解決すると退会するひともいて、出入りが激しい。治療経験のある人の話を聞きたく入ってくる方も多い。



——どのような活動を。


齊藤 5月には、初めて対面方式のセミナーを開いたが、基本的にはオンラインで開催している。CLLは患者数も少ないことから、自分が通っている病院内でCLLを患っている人もあまりおらず、情報収集も大変だ。いま自分たちが抱えている問題や課題に対して、専門医に回答してもらう会を開催している。



——患者会を設立したことによる反響はあったか。


齊藤 初めて勉強会を開いたときに参加してくれた人のなかで、登壇した医師の話と自分の症状が違うことに気づいた人がいた。すぐに、登壇した医師にセカンドオピニオンを頼んだところ、別の疾患だったことがわかり、後日「命の恩人だ」と言われたことがあった。CLLは診断が難しく、専門医も少ないため、会を立ち上げて情報共有できていてよかったと思った。