私は、人材育成コンサルタントであり、研修講師である。まったくの業界外のいわば部外者でありながら、製薬会社MR研修に日々関わっている。研修終了後、毎回実施されるアンケートは、私と受講者の良き交流の場であり、私にとっても現場の生の声を聞くことができる貴重な機会となっている。
アンケートには、「質問コーナー」があり、300人ぐらいの研修で、50以上の質問がくることはザラである。すべてに返事を書くのに、研修より長いが4〜5時間かかる。ただし、匿名での質問であるので、その質問こそがMRの生の声である。
MRの質問の仕方で、気になることがある。質問の仕方が回りくどいのだ。まずは、「研修に対する丁寧なお礼」「研修を理解できなかったお詫び」「質問させて頂く許可」と続いて、それからようやく質問だ。そして、また最後に丁寧なご挨拶がつく。ひとりやふたりではないのが怖い。大量の質問を何とか短時間で終わらせようと必死な私に、質問の背景から説明をしているMRや、解決策を列挙して私の回答を選択式にして下さる方もいる。だいたい全部、普段やれていない自分への言い訳である。そのような質問は、本人のためにならないので、「質問の仕方がいろいろ長いです」とはっきり伝えるようにしている。
研修内でロールプレイングをすると実証されるが、恐ろしいことに、この長い質問の仕方は、絶対普段の面談でのトークの癖がそのまま出ているのだ。およそ1年前23年8月1日号と9月1日号のコラムにも、「その『くどい敬語』ただの癖です!」と、面談の冒頭に忖度を連打して時間を無駄に使うMRの悪習慣を指摘しているが、ことは面談の頭だけではない。