セリーグは先発陣が充実している広島が6月から急上昇し、一度後退しながら8月には首位に上がった。しかし、同月後半から巨人と鍔迫り合いを演じ、9月に大失速した。とくに9月11日の巨人との天王山で守護神の栗林がまさかの6失点で逆転負け。これが象徴的な一戦になり、カード3連戦を3連敗。9月は4勝20敗と考えられない成績でリーグ優勝を逃した。今季のセリーグは中日、ヤクルト以外の4球団が首位に立つデッドヒートの展開だったが、戸郷・菅野の2枚看板が支えた巨人が制した。広島も森下・床田・九里・大瀬良と4枚が頑張ったが、打線が弱かった。本塁打は坂倉の12本が最高。大砲不在で先発見殺し打線だった。


<守護神・栗林が9回裏6失点降板>


 セリーグは普段からあまり見ないので大きなことは言えないが、スター不在の印象がある。メジャーで活躍するのは、ダルビッシュや菊池、大谷や山本など最近ではパリーグ出身が多い。初年度に2桁勝ったカブスの今永は別として、全体に選手の粒が小さくなったのだろうか。前年の覇者阪神は、森下・大山・佐藤の主軸は強打者の雰囲気がないし、巨人の岡本は穴が多すぎる。ヤクルトの村上も同様で、メジャーで通用しないのではないか。


<巨人の2枚看板 戸郷(左)と菅野(右)>


 各チームとも大きな決め手がないので、来季も混沌としたペナントレースになるのではないか。ただ、下位の2球団は来季も低迷するような気がする。巨人は菅野がメジャーに行けば、その分の補填がカギになる。戸郷はメジャーでも通用する力があるが、肘をあまり使わず腕を伸ばして投げるアーム投法は腕への負担が大きく、投手寿命を縮めなければいいのだが……。


強者ホークスと新庄ファイターズ


 パリーグは大方の予想どおり、ホークスが順当に制覇した。近藤・山川と並ぶ打線はやはり驚異的。ただ、柳田に陰りが見え始め、先発陣も有原・モイネロに続く実力者が育っていない。現時点では他球団に比べて戦力が優っているが、3年後にこの地力を維持しているかどうかは疑わしい。