中外は早い決算発表も評価か
医薬品業界では、10月25日の大引け後に24年12月期第3四半期決算を発表した中外製薬(図2)が、週明け28日終値で前日比986円(14.4%)高の7855円と大幅反発し最高値を更新した。同社が独自に定義するCore営業利益が25.3%増と好調だったうえ、通期業績予想も売上収益・Core営業利益ともに800億円上方修正した。配当予想も増配幅拡大の含みを持たせている。
ちなみに、10月30日大引け後にはアステラス製薬、31日の取引時間中には第一三共が25年3月期中間決算を発表。両社とも前年同期比では増収増益、通期業績予想も上方修正したが、発表後直近営業日(31日)の終値は、アステラスが前日比0.3%高、第一三共が0.7%安と小動きにとどまった。全体相場が株価に影響した可能性もあるが、日経平均終値は28日が1.8%高、31日は0.5%安と振れ幅は小さい。中外が28日に14.4%も上昇したのはやはり前営業日の決算発表を反映したものだ。何よりも業界の先頭を切って発表したことが、薄商いの中で投資家の注目を集めた可能性がある。
中外の株価は3月高値6697円の後、「エンスプリング」の重症筋無力症向け第Ⅲ相が想定を下回る結果だったことや、第1四半期決算が今一つだったことなどから上値を切り下げる展開が続いた。5月安値4572円で底打ち後は、第2四半期決算での復調や国内外証券会社による目標株価引き上げなどを受けて、下値切り上げに転じた。直近発表の第3四半期決算により、あらためて足元の好調ぶりを再確認できたことが最高値更新につながった。
11月半ばまでは、3月・12月期決算企業の決算発表が続く。医薬品株価はディフェンシブ銘柄とされるだけに経済や政治のイベントに左右されにくい側面を持つが、しばらくは足元の業績とともに、新薬開発状況などの発表案件に左右される局面となりそうだ。