心電計で有名なフクダ電子(東証スタンダード市場)が「株主(1人)から当社の現取締役9人と元取締役4人に任務懈怠があったとして株主代表訴訟を起こされました」と公表した。訴えた株主とは米ボストンに拠点を置くアクティビスト(もの言う株主)の「カナメキャピタルLP」で、株主代表訴訟の損害賠償請求額はなんと545億円である。
株主代表訴訟は訴えられた役員に対し「損害額を会社に支払え」というもので、訴えた株主の懐には一銭も入らない。福島第一原子力発電所事故を起こした東京電力で株主から当時の役員が巨額の賠償を請求された(高裁に控訴)株主代表訴訟が広く知られているが、それだけに会社によほどの愛着があるか、正義感に燃えていなければ起こさない訴訟だ。
フクダ電子は昨年に続き、今年6月の株主総会で株主から社外取締役2人の選任などの議案を提案され、否決したばかりだ。
しかも、株主代表訴訟を起こしたカナメキャピタルは株価吊り上げを狙うアクティビストではなく、投資先企業の持続的な成長に向けた対話を行なう〝バリューアクティビスト〟だ。フクダ電子にとっては株主総会に続く難題。果たしてどういうことになるのか。