中国は、24年版「政府活動報告」によって、新薬の研究開発を支援する方針が打ち出した。前回、中国で新薬のライセンスアウトがかつてないほど活況を呈していることに触れたが、今回は一歩踏み込んで、その現状を取り上げたい。
医療サービスを提供する丁香園がまとめた資料によると、中国企業によるライセンスアウトの契約金額は、20年の79億ドルから23年には473億ドルまで急増し、3年間で5倍となっている。24年に入ってもその勢いはとどまらない。中国企業によるライセンスアウトの契約金10億ドル以上の事例(10月20日現在)を表にまとめた。
表に示したように、契約金10億ドル以上の事例は15件に上り、合計金額は280億ドルを超えた。そのうち、抗体薬物複合体(ADC)の契約数が5件で最も多く、全体の3分の1を占めている。
ADCは、抗体に抗がん剤などの薬を付加したもの。薬を直接がん細胞まで運び、そこで薬を放出するため、正常な細胞への影響を最小限にとどめることができる。より効果的で患者に優しいがん治療が可能になると期待されている。
ここで、表の事例をもとに、武田薬品などの企業を紹介したい。