▽2025年アメリカ政治は共和党支配になるが、メディケア薬価交渉の廃棄は約束されない

▽新薬開発の妨げ批判を議会共和党は共有するが、返り咲く大統領の意向が見えない


【出典】 Chimeric antigen receptor T-cell therapy for B-cell cancers : Effectiveness and Value, Institute for Clinical and Economical Revie (ICER), prepared for California Technology Assessment Forum, 2018年3月3日




 大統領、上下両院多数派の共和党スイープに最高裁判所の絶対的な後ろ盾——。米国は2025年、産業界にフレンドリーな政治環境を整えるが、バイオファーマに限れば期待をほどほどに抑えるのが賢明な態度。選挙結果直後の株価はそう教える。


 市場全体が沸くなかで米ファイザー、米メルク、米ジョンソン&ジョンソンはわずかに下げ、米イーライリリーは3%を超える下げ幅になった。


 米国研究製薬工業協会(PhRMA)は選挙結果を歓迎、政権、議会とイノベーションのエコシステムを確認しあって、政策を進めたいと表明したが、メディケア薬価交渉プログラムの巻き戻し廃棄は約束されない。


 高い壁を前に薬価交渉は第2ラウンドに進み、これまで同様、第1ラウンド交渉価格の2026年1月実施を止めるのは最高裁の判断頼みになる公算があるという。全米8連邦裁判所の違憲・差し止めは現時点で連敗、控訴審審理が確定したのはテキサスのみ、それでも控訴審で製薬勝訴が出れば最高裁審理の道が開けるが、日程は不明だ。


 2022年夏、上院議長として賛否同数に決着をつけ、インフレーション抑制法(IRA)の法制化に導いた副大統領がホワイトハウスの主になる事態は回避できた。価格交渉の拡大を通じた節減を財源に、メディケア在宅ケアに新しい給付を約束していた。