高齢者の増加に伴って、財政状況がひっ迫しており、利用者からみた介護関連サービスは「改悪」の一途。かつて「安い施設」とみられていた特養も必ずしもそうではなくなった。2015年に要介護3以上でなければ入所できなくなったのに加えて、2021年の改訂で入居者の4割で食費が月2万2000円アップ。一定限度を超えた支払いを免除する補給給付も条件が厳しくなった。


 その結果、かつては50万人を超えていた特養の待機者も、入居者の負担が増えた2022年4月の数字では27万5000人まで減っている。


 介護保険制度で普及が進んだ認知症高齢者向けのグループホームは、時間の経過とともに、有りようが変化している。


 本来グループホームは、スタッフの支援の下、残された機能や能力を使って、認知症の人たちが食事や掃除などの家事を行い共同生活する施設。しかし、〈入居して長年経つと認知症に加え身体の衰えも進み、また認知症の人の介護度が低く出てしまうという問題もあって、今は「ご飯を作って」なんて言っていられません〉という状況が生まれた。


■サ高住は絶対やめたほうがいい


 著者が<要介護度の高い、とくに認知症がある人は絶対やめたほうがいい>というのが、「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)。国の補助金などもあって、数が増えたが、その中身は玉石混交である。


 介護の観点では、〈介護型サ高住は全体の七%程度で、しかも行っているのはサービス計画程度。実際の介護サービスは他の機関への外注がほとんど〉だ。