介護付有料老人ホームに比べて入居時の費用が比較的安いことから選ばれるケースも多いが、外付けの介護サービスは、要介護度によっては介護費用が「青天井」になることがある(その意味では住宅型の有料老人ホームも同様のリスクがある)。
では、認知症の家族を抱えた人はどう施設を選べばいいのか?〈実態としては、施設のタイプよりも、個別の施設ごとの差のほうが大きい〉という。
著者いわく〈介護する人とされる人の両方が、死んだ魚のような目をしている施設はやめたほうがいい〉。これは介護施設を訪れてみれば、一目瞭然だ。なお、よく言われる「臭い」については、〈常時ひどいにおいがするということでなければ許してあげてほしい〉とのこと。何度か通ってみる必要があるだろう。
つまるところ、認知症介護には向かないタイプのサ高住などの施設を外し、懐具合を考慮したうえで、入居を希望する施設を実際に見学して決めるしかない。
それでも、経営母体が変わるなどして施設の経営方針が大きく変わることもあれば、個々の施設の職員が入れ替わって、雰囲気ががらりと変わることもある。施設選びの成否は、最善を尽くしたうえで、最後は「運」次第ということか。
認知症の治療法が確立されるのを待つほか「決定版」と呼べる対策はなさそうだ。(鎌)
<書籍データ>
佐藤眞一/小島美里(ちくま新書1034円)