庸介氏「復帰」が本筋だが…
門前薬局を大量に出店するスタイルは転換期を迎えており、新たなビジネスモデルが調剤薬局には求められている。だが、この10年間、日調は新たなモデルを見出せずにいる。そこで社内では20〜30代の若手社員10人程度で「調剤薬局の未来の姿」というプロジェクトを開始。35年の薬局をどのような形にするのか若手社員が策定し、今後1〜3年の方針を決める計画という。笠井氏は「私みたいな高齢者が考えるのではなく、自由な発想で考える」と期待。赤字になったのは「構造的な問題。抜本的に改革する」と語るが、問題なのは笠井氏が自虐的に述べるとおり、経営陣がほぼ60歳以上で高齢ということ。少し若い小城氏でも58歳。庸介氏への世襲を前提としてきた経営体制だったため、次世代を担う社長候補者が育っていない。
日調は「庸介前社長が戻られたら(社長に)復帰する可能性はある」という。世襲にこだわってきた博氏だけに、庸介氏の復帰が本筋なのだろう。かつてカリスマ経営者と呼ばれた博氏は76歳で表舞台に立つことはほぼない。「経営のサポートという形」に徹し、かつてのほどの存在感はない。博氏が存在感を示すとすれば、庸介氏の復帰の下地をつくるために元銀行マンを整理するときだろう。
一方、庸介氏の復帰の可能性がゼロとなれば、日調ごと売却することもあり得る。投資ファンドや大手金融サービス企業が買収に動き出しているという噂もある。日調の低迷は世襲にこだわる博氏と元銀行マンのはびこる経営陣にこそある。まずは経営体制の抜本改革なくして事業改革などない。