エーザイ
【証券コード】4523 【上場】東証プライム



レンビマ増額でもレケンビ減額

24年度通期は横ばい計画継続


 エーザイの今24年9月中間期(IFRS=国際会計基準)は売上収益が前年比3.1%増の3850億円と小幅増収ながら、営業利益が11.5%減の278億円と2桁減益で着地した。



 医薬品事業売上収益の主要地域別では、日本が7.5%減と低調で、23年6月に自己免疫疾患薬「ヒュミラ」(前期は第1四半期のみ売上134億円計上)の共同販促契約が満了となった影響が大きい。同社がグローバル製品に位置づける「3L」のうち、国内では抗がん剤「レンビマ」が15.9%減の一方、不眠症薬「デエビゴ(一般名レンボレキサン)」は26.9%増、23年12月発売のアルツハイマー薬「レケンビ」も前下期(23年10月〜24年3月)の4億円から今上期は42億円へと順調に伸びた。海外では地域別で最大規模の北米が、為替の円安効果もあり23.5%の大幅増収。北米ではレンビマが17.3%増、レケンビが28倍、デエビゴが39.5%増の31億円とそれぞれ拡大した。


 研究開発費はレケンビへの積極的費用投入にもかかわらず、パートナーシップ活用の費用負担減効果で1.2%減に抑制。ただ、人件費増やレンビマ売上拡大に伴う米メルクへの折半利益支払い増などで販管費は10.1%増。前期計上した選択的エストロゲン受容体分解薬の収益受領権譲渡に伴う一時金収入の剥落もあり、営業利益は11.5%減、営業利益率も7.2%と1.2ポイント低下した。


費用抑制で通期営業益横ばい


 今25年3月期通期については期初計画どおり、売上収益が1.6%増、営業利益が0.2%増と前年比ほぼ横ばい。医薬品事業の主要地域別売上収益予想も据え置かれたが、主要製品別でみると、北米でレンビマが80億円増額の一方、レケンビは170億円減額された。レケンビは11月15日に欧州医薬品委員会(CHMP)から承認勧告を受けており、欧州での承認と保険適用が早期に実現するか否かが、さらなる成長に向けた課題となる。