小野薬品工業
【証券コード】4528 【上場】東証プライム
デシフェラ連結で営業利益率低下
24年度通期からコア営業益開示
小野薬品工業の今24年9月中間期(IFRS=国際会計基準)は売上収益が前年比7.1%減の2403億円、営業利益が42.4%減の559億円で着地した。
製品商品売上では主力の抗悪性腫瘍剤「オプジーボ」の薬価改定(▲15%)による減少を、糖尿病・慢性心不全・慢性腎臓病薬「フォシーガ」成長や、買収した米国デシフェラ社(7月連結化)の消化管間質腫瘍薬「キンロック」新規計上で補い、2.1%の小幅増を確保。が、ロイヤリティ他では、ブリストル・マイヤーズスクイブからのオプジーボに関わる収入が伸びたものの、米国メルク「キイトルーダ」に関わるロイヤリティ(特許侵害訴訟和解の条件)料率が今年から大きく低下し128億円減、前年計上の英国アストラゼネカとの特許関連訴訟和解に伴う一時金収入170億円も剝落し、ロイヤリティ他全体では22.1%の大幅減となった。
コア営業利益はほぼ横ばいか
利益面では前年計上した販売権減損損失54億円が消え原価率は1.3ポイント改善。が、研究開発費はデシフェラ分の加算などで39.4%増、販管費もフォシーガ共同販促費増や、デシフェラの取得費用・販管費加算などで22.7%増となり、営業利益率は14.2ポイントも低下した。
今25年3月期通期について同社は期初計画比で売上収益を350億円増額の4850億円とする一方、営業利益を400億円減額の820億円に修正。期初に織り込んでいなかったキンロックの売上が今期は9ヵ月で235億円加算されることが売上増額の主因。ただ、デシフェラ関連の費用に加え、韓国LigaChem社との創薬提携契約に関わる費用などが発生、営業利益は減額された。小野薬品は今回の買収を機に、買収等に関わる無形資産の償却費や減損損失などを除いた本業の業績を示す「コア営業利益」を導入し今期は1100億円と予想。前期実績は非開示だが、ほぼ横ばいと見られる。