「地方創生の第一歩」などと叫ばれ、ブームになっているのが、地方の私立大学の公立化だ。なにしろ、18歳人口が今後ますます減少するだけに、入学定員割れを起こしている地方の小規模私立大学にとって公立化は生き残るためのベストの選択肢なのである。


 すでに公立化に成功したのは、09年の高知県香美市の高知工科大学を皮切りに浜松市の静岡文化芸術大学、沖縄県名護市の名桜大学など12校に上る。逆に断念したのは新潟県柏崎市の新潟産業大学と兵庫県姫路市の姫路獨協大学の2校。さらに今も検討中なのは山形県酒田市の東北公益文科大学、滋賀県長浜市の長浜バイオ大学など5校に上るが、目下、去就が注目されているのが千葉県銚子市の千葉科学大学と熊本県玉名市の九州看護福祉大学、岡山県津山市の美作(みまさか)大学の3大学だ。


 そんななかで世間を驚かせたのが美作大の公立化だ。なんと地元の津山市医師会が「美作大学の公立化検討の要望書」を市長に提出したのである。美作大には医療に不可欠な薬学部も看護学部もないのだ。公立化に傾きかけている津山市にとって、異例の医師会の要望は美作大公立化に向けたダメ押しとなるか——。