新型コロナウイルスが5類に移行しておよそ1年半が経過した。感染の流行が落ち着いたことで、ワクチン接種への関心が薄れ、接種率の低迷を危惧する声も聞かれる。世界保健機関(WHO)も、今後の秋冬シーズンにかけて、新型コロナウイルスの感染が流行すると想定し、早めのワクチン接種を推進する方針を示している。
日本でワクチン接種率が下がっている現状や、ワクチン開発環境の受け止めについて、米モデルナのフランチェスカ・セディアCMOに聞いた。
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——日本で新型コロナワクチン接種率が下がっている現状をどのように分析していますか。
セディア 他国と比べてワクチンに対して国民が懸念を感じている比率が高い。ソーシャルメディアの情報に流されてそれを信じている人が多いように感じる。新型コロナウイルスのワクチンほど、臨床試験なども含めて世界中で幅広く大きく研究されている、つまり、これほど知見が集まっているワクチンはほかにない。
また、新型コロナウイルスのワクチン接種が強制ではなくなったなかで、重要になってくるのは医師の役割だ。とくに高齢者が新型コロナウイルスに感染した場合、ほかの呼吸器疾患に比べて入院率が3倍高い。重症化する症状を発症させないために、今だからこそ新型コロナウイルスワクチンを打つべきだ。インフルエンザワクチンを打つことと同様に、新型コロナウイルスについてもワクチンも打ったほうが良い。医師が患者に対して接種したほうが良い理由を説明していただくことがとても肝になる。
しかし、日本の新型コロナウイルスワクチンの接種率は前年度と比較して大幅に低迷している。高齢化社会が進んでいるにもかかわらず、接種率が低いということは問題がある。