「リクシアナ」(エドキサバン)の快進撃が止まらない。


 民間調査会社IQVIAによれば、24年第2四半期(4〜6月)の売上高はキイトルーダに続く第2位で、前年比13.8%増の379億5900万円だった。心房細動(AF)患者に対する適応がなかった13年時点で、それにもかかわらず日本循環器学会がガイドライン(①)で「推奨」するという椿事をもたらした薬剤だけのことはある、ということだろうか。


 しかし、連載第42回(24年4月15日号)で指摘したように、日本人AF患者に対するエドキサバンの有用性はさほど大きくない。日本人AF患者536人を無作為化した試験においてエドキサバンは、用量の高低(30〜60 ㎎/日)を問わず、出血性イベント、血栓塞栓性イベントのいずれも、ワルファリン群と有意差は認められなかった(②)。


 にもかかわらず、エドキサバンは「ワルファリン」に比べ極めて高価である。エドキサバンを60 ㎎/日で使うとすると、仮にワルファリンを5㎎/日で用いたとしても、薬剤費の差額は1日400円弱となる。エドキサバン30㎎/日でもほぼ同じだ。1年に直すと14万円強、ワルファリンよりも余分にかかる。ワルファリンでは必須となる頻回の血液検査と用量調整、そして患者に課せられる各種の摂食制限がないことを考えれば、この薬剤費の差も、費用対効果(コスパ)の面から正当化できるのだろうか。