▽メディケア民間保険ビジネスは2025年も「嵐の中」に−産業界はそう訴える
▽二重資格者・慢性状態・施設入所の高齢者向け特別な「SNP」の提供をMA各社は競う
【出典】Stuart Hammond and Pamina Mejia, Supplemental benefits in Medicare Advantage, Medicare Payment Advisory Committee(MedPAC), 2024年10月10日
Better Medicare Alliance, Analysis of the 2025 Medicare Advantage plan landscape(prepared by Avalere) , 2024年10月23日
メディケア・アドバンテージ(MA)は2025年、提供プランを6.5%絞り、規模重視のメディケア民間保険の拡張路線は「反省期」に入ったが、貧しく脆い、重い慢性状態、施設ケアに頼る3タイプの受給者向けスペシャル・ニーズ・プラン(SNP)は提供を8.5%(1417)伸ばし、MAの牽引役に定着した。2018〜24年、MA加入者は66%増えたが、SNPは258万人から664万人に157%増、MA内のシェアは13%から20%に広がった(表1)。
惹きつける理由は図1に明快だ。連邦政府が還元する一般MAの加入者平均リベート額は倍増、公的管理との違いを際立たせる原資になったが、SNPは2.6倍、3090ドルは一般MAより33%多く、付加給付に集中した拡充が進んだ。メディケア諮問委員会(MedPAC)の討議に供された。
地域の出来高払い費用に基づくリスク調整指標とプラン入札額の差がリベートになる。SNPリベートは2019年以降、一般MAと差を広げた(図2)。
メディケイド適用も受ける貧しい二重資格者のケア環境整備が始まりで、SNPの88%がD-SNP。12%が貧弱な健康状態、「きわめて」「とても」健康は24%のみ、一般受給者は4%と54%だ。メディケイド原資による患者負担の減免に加えて、社会的健康因子を含む幅広い対応が効果的だ。
年平均医療費2万9328ドルは一般1万907ドルの3倍近く、ケア効率化による節減可能性も大きい。
重い慢性状態(現在15疾患・状態)向けC−SNP、地域で暮らすが入院・入所ケアが欠かせない受給者に柔軟な給付を用意するI−SNPが新しいケア管理モデルを探り始めた。C−SNPの保険料・患者負担は一般MAに近いが、状態に応じて特別な療法、薬剤給付リストを組み込むことができる(表2)。
パートA/B/Dのメディケア法定給付の枠を超えて、複雑で多様な医療ニーズに柔軟に包括的に対処する「特別」プログラム(医療の構造125〜126)は、退院後の患者宅に食事の配給、受診の足の確保、エアコンを含む在宅環境の整備から、在宅生活の支援を提供する。デビット・カード(定額)によるOTC医薬品の購入も人気だ(表3)。
眼鏡、補聴器、歯科にテレヘルスを加える健康・医療関連の定番付加給付とプラスαのメニューが加入を惹きつけてきたが、SNPは今、慢性状態向けの非医療給付(SSBCI)の新しい領域をアピールする。2018年慢性疾患ケア法が「主に健康・医療関連ではない」サービス支払いをMAに認めた。
「退院後」を超えた食事・食品・食材の提供、受診「以外」の交通の足、一般の生活支援だ(表4)。