KMBのエムポックスワクチン、緊急使用リスト入り

 KMバイオロジクス(KMB)は11月20日、同社のエムポックスワクチン『LC16「KMB」』が世界保健機関(WHO)の緊急使用リスト(EUL)に19日付で登録されたと発表した。EULとは、国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態に際し、その時点で得られている臨床データに基づき、未承認のワクチンなどに関する安全性や有効性、品質をWHOが審査し、リスト化することで、早期に緊急使用できるようにするための手続き。今回の登録により、国際機関などがKMBの同ワクチンを途上国などに対して供給できるようになる。KMBは今後、グループ会社のMeijiSeikaファルマと連携し、同ワクチンのWHO事前認証取得をめざす方針だ。

ペプチスター、第三者割当増資で総額26億円調達

 ペプチスターは11月11日、住友化学、東亞合成、塩野義製薬、積水化学工業を引受先とする第三者割当増資を行い、総額26億円を調達したと発表した。住友化学と東亞合成は新規の出資。また、INCJ(旧産業革新機構)など一部既存株主が保有していたペプチスターの株式を、親会社であるペプチドリームが取得したことも発表した。住友化学の場合、ゲノム編集治療に必要なガイドRNA(gRNA)の量産技術をペプチスターに供与。23年8月に稼働した同社大分工場と、ペプチスターの2拠点生産体制を構築している。今回の資本提携により、協業関係のさらなる強固化を図る。

スズケン、コラボポータルの医師ID数6万増目標

 スズケンの浅野茂社長は11月13日の決算説明会で、デジタルヘルス分野で新規収益をつくるため普及に取り組む医療・介護従事者向け情報・サービス集約サイト「コラボポータル」について、医師ID数を「6万」に増やすとの24年度目標を示した。開業医をターゲットとし、今期は「一番ハードルの高い医師に活用してもらう取り組み」を全社的に進めていると説明。併せて「月1回以上アクセス」して各種サービスを利用するアクティブユーザーの医師・薬剤師を増やす考え。

東邦HDが実行計画、ROEは最低8%以上

 東邦ホールディングスは11月8日、中期経営計画(23〜25年度)を加速させるための実行計画を発表した。取締役会の諮問機関「経営戦略委員会」の提言に基づき策定した計画で、財務・資本戦略としては事業利益の拡大と安定的な増配、機動的な自己株式取得によって、28年度までに「累計800億円」の株主還元を実施。株主が投下した資本に対しどの程度効率的に稼いでいるかをみる指標の「ROE」(自己資本利益率)は最低「8%以上」を確保して28年度以降も継続的にこの水準を保てる収益、財務基盤をつくる。

治験計画届出件数は前年度から減少、抗がん剤など

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は11月11日、医薬品の治験計画届出件数の推移を発表した。23年度の総数は前年度から105件減少して537件に落ち込んだ。薬効別分類で見ると、最も多くを占める「抗悪性腫瘍薬」が30件減少の189件、「中枢神経用薬(解熱鎮痛消炎薬を除く)」も14件減少の45件だった。一方で「ホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)」は6件増の26件、「抗アレルギー薬」は2件増の23件に増加している。

規制改革会議、訪看への薬剤配置の早期実現を

 内閣府の規制改革推進会議は11月12日、可能な限り早期に実現をめざす検討課題に「訪問看護ステーションの配置薬剤拡充」を挙げた。厚生労働省は、地域で薬剤提供の体制づくりに取り組んでもなお課題が解決できない場合の「特例的な対応」として検討し、限定的なケースに絞った要件を課す案を示しているが、規制改革推進室は「議論が尽くされていない」と指摘。現場のニーズも踏まえた条件を「早急に詰めたい」との考えを語った。年末の中間とりまとめに向けて検討を進める。訪問看護ステーションに配置できる薬剤の拡充は、22年から規制改革推進会議で取り上げられている課題。

長期収載品の患者追加負担、薬局業務に支障

 東京都薬剤師会は11月9日の地区職域薬剤師会会長会で、10月から導入された長期収載品を希望する患者に選定療養で追加負担を求める制度について、70%の会員薬局で「説明に時間がかかり業務に支障が出た」とするアンケート結果を報告した。患者への説明に要した平均時間は「3〜5分程度」が最も多く56%、説明に要した最長時間は「10分」という回答が29%(132人)を占めた。ただ、最長で「30分」かかったケースが7%(30人)あったほか「60分」「120分」との回答もあった。薬局でのトラブルについて「料金が発生することに理解が得られなかった」事例は34%、「暴言などのハラスメントを受けた」事例は12%の薬局から回答があった。