「トランプ・トレード」が日米の半導体・医薬品銘柄を直撃。
明治HDは株式売出しが嫌気され1年半ぶり安値に。
11月の東京株式市場は最終営業日29日の終値で、日経平均株価が前月末比873円(2.2%)安の3万8208円、TOPIX(東証株価指数、図1)が14.8ポイント(0.5%)安の2680.7といずれも反落した。
11月は国内で3月期決算企業の中間決算発表ピークを迎え、決算内容が株価を動かす「決算相場」が想定された。が、日本の株式相場を先導したのは、ドナルド・トランプ次期米国大統領による閣僚候補指名や就任後の政策に対する期待と不安、その影響を直接受ける米国株式市場の動向である。
米国株全体の動きとしては主要3指数のNYダウ工業株30種平均、ナスダック総合指数、S&P500とも、大統領選前日の11月4日に月間の安値をつけたものの、大統領選当日の5日はトランプ氏優勢が伝えられ急反発。トランプ氏勝利が確定的となった6日にはダウが3.6%高、ナスダックが3.0%高、S&P500が2.5%高と大幅続伸した。その後も3指標は下値を切り上げ、ダウは12月4日に初の4万5000ドル乗せで最高値更新、ナスダックとS&P500も同6日に最高値を更新した(いずれも終値ベース。以下同じ)。ただ、米国株も個別に見ると明暗が分かれる。
とくに軟調なのがハイテク系銘柄。かつての半導体の雄インテル、生成AI用半導体で急成長中のエヌビディアとも11月の株価は横ばい程度で推移した。10月31日発表の7〜9月期決算が過去最大の最終赤字だったインテルに対し、エヌビディアは11月20日発表の8〜10月期決算が市場予想を上回る好調ぶりだったものの、11月の株価はいずれも上値の重い展開で大きな差は見られなかった。
背景にはトランプ氏が中国からの輸入に対する関税引き上げなど「トランプ関税」を明言し、米中経済対立の影響を受けやすいハイテク・半導体系銘柄に不透明感の増したことがある。日本でも11月はレーザーテックの30.0%安を筆頭に、アドバンテストが9.9%安、ディスコが8.7%安など、全体相場以上に株価の低迷する半導体系銘柄が目立った。
この「トランプ・トレード」は医薬品業界にも大きな影響を与えた。11月14日に新政権の保健福祉省長官に指名されたロバート・ケネディ・ジュニア氏は、反ワクチン色に加え肥満症薬にも否定的で、FDA(米国食品医薬品局)の解体も示唆。11月の米国主要医薬品株はアムジェン10.4%安、ファイザー8.1%安、イーライリリー6.1%安と、米国主要3指数に逆行して株価を下げた。
米国医薬品株の動向は日本にも波及、11月はロート製薬13.8%安、アステラス製薬13.0%安、東和薬品10.7%安、中外製薬10・1%安と2桁安が目立った(表)。