参天製薬
【証券コード】4536 【上場】東証プライム



ジクアスLX回収の影響は吸収

24年度通期は2桁営業増益堅守


 参天製薬の今24年9月中間期(IFRS=国際会計基準)は売上収益が前年比0.4%増の1464億円と横ばいながら、営業利益は4.9%減の238億円で着地した。同社はIFRSの営業利益から無形資産償却費や持分法投資損益、買収・合理化費用などを除いたコア営業利益を開示しているが、コアベースでも5.7%の減益だった。



 売上収益の増減要因を地域別・主要製品別に見ると、日本は2.2%減と伸び悩んだ。薬価引き下げや能登工場製造ライン復旧遅延に加え、5月下旬には防腐剤濃度問題を受けたドライアイ治療薬「ジクアスLX」の自主回収・出荷停止が発生。5月発売のアレルギー性結膜炎薬「アレジオン眼瞼クリーム」の順調な初動でも補いきれなかった。ただ、海外売上収益は円安も寄与し中国が5.6%増、アジア5.1%増、EMEA(欧州・中東・アフリカ)6.3%増と堅調推移。連結での微増収に持ち込んだ。利益面では日本での薬価引き下げと回収関連費用に加え、EMEAで前期計上した角膜障害点眼剤「アイケルビス」関連の一過性要因(保険償還引当に関する戻し入れ益23億円)剥落などが営業利益、コア営業利益を圧迫した。


通期はコア減益でも営業増益


 今25年3月期通期は8月6日の修正予想どおり、売上収益は前年並み3020億円、営業利益は15.5%増の445億円と2桁増益、コア営業利益は12.4%減の550億円と2桁減益を見込む。前期に計上した減損損失や事業構造改革費用(いずれもコア営業利益に非算入)の消えることがIFRS営業利益の増益要因となる。ジクアスLXの出荷再開時期は未定だが、緑内障アセットの南米での開発販売権をアルコン社に導出したことによる売上収益を新たに計上。一方で10月からの長期収載品選定療養化の影響や、来春の花粉飛散動向、海外事業での為替変動などが、下期を占ううえでの不確定要因だ。