ツムラ
【証券コード】4540 【上場】東証プライム
不採算品目再算定効果で利益倍増
24年度通期は中国も損益均衡へ
ツムラの今24年9月中間期(日本基準)は売上高が前年比18.3%増の890億円、営業利益が106.4%増の210億円と大幅増収増益で着地した。営業外収支では円安に伴う為替差益17.5億円(前年同期は19.8億円)が発生、政策保有株式の売却特益18.1億円の計上もあり純利益は94.4%増の175億円と高水準だった。地域別では、9割弱を占める国内事業が売上高・営業利益とも期初計画クリア。中国事業は原料生薬の売上に取引先の一時的買い控えが響いたものの、営業利益は期初計画(▲2億円)より赤字幅が縮小した。
国内で主力の医療用漢方製剤(129処方)は4月の不採算品再算定(66処方で適用)に伴う薬価引き上げを主因に売上が21.0%増え、原価率の改善(連結で5.8ポイントも低下)に寄与。前期末には「六君子湯」など一部品目で卸からの前倒し注文が膨み4月以降に反動減が生じたものの、医療機関への納入数量では前年同期を上回り、需要は堅調と見られる。
なお、ツムラは医療用漢方製剤129処方について、5品目を育薬処方(新薬治療では難渋している疾患でエビデンスを確立する処方)、5品目をGrowing処方(育薬に続く戦略処方)、残り119品目を「その他処方」に分類(表2)。中間期は全体で2割増収ながら、「大建中湯」「抑肝散」「牛車腎気丸」が不採算品再算定適用となった育薬は36.5%増、適用がなかったGrowingは1.3%減と明暗が分かれた。
通期では中国も黒字化めざす
今25年3月期通期は期初計画どおり、売上高が22.6%増、営業利益は97.3%増を見込む。通期計画に対する中間期の売上進捗率は48.1%と低めながら、中間期に計画未達だった中国事業では、原料生薬や飲片の売上拡大を図るとともに、販管費の削減により、10億円の営業黒字をめざす方針だ。