欠品責任を押し付けてきた
今般の滅茶苦茶な薬機規制やそれに続く業界再編成は、民間にやらせている者たちは「荒療治」程度の認識かも知れない。しかし、薬事規制を所管する医薬局官僚はメンツを守る、ただそのために励み、後発品企業に医薬品欠品の責任をすべて押し付けてきた。業界を所管する医政局官僚は「安定供給」を求める医療従事者や患者の声に怯えて、正常な思考ができなくなっている面が大きいのではないか。変則な形で一線を越え、薬機法に含まれることが決まった安定供給義務だが、これに関する施策は本当に機能するのだろうか。官民双方に相当の労力・コストがかかる。それよりは品質規制を国際常識に戻し、レギュレーターの質を高めるほうが、余程正攻法で国民のためになる。
今の施策では、入口の生産と出口の調剤は、「国営」のようにガチガチに情報を求めるが、肝心の医師の処方についてはほとんど野放しである。これが国民の公衆衛生を守る責務のある厚労省のやることだろうか。
また薬機規制のメンツ保持のためにかかった税金や診療報酬上の措置は多額に及ぶし、後発品企業や卸を中心に社員らに不条理な業務や必要のない残業などを強いた罪、また医師もそうだし、薬剤師に現場の悲痛な状態を報告させている罪は容易には消えない。薬事当局は自らの愚行を心の底から悔い改めなければ、業界は信用せず、日本の製薬産業を地獄に道連れにしていると言っても過言ではない。
薬剤師の熊谷信氏(※)は、供給改善には2〜3年かかると言われたが、以前の状態には戻らないのではないか、以前は供給>需要で、弊害として余った分の安売りや廃棄もあっただろうという(薬価にも反映する)。需給状況がタイトになった今は資金がないと、国際的な規制強化や天変地異、感染症の流行などをカバーできる余裕のある生産体制はとれないという。