1人当たり純利益も少ない
表2のように、第一三共の1人当たり売上高生産性は60.8万ドルで平均の71.2万ドルより少ないが、ノバルティスやサノフィより高い。表2でアステラス製薬が日本の大手で最も高く、8位の77.3万ドルあるが、日本の大手は1人当たり純利益が非常に少ない。
表2で6位のメルクは1人当たり純利益が非常に低くなっているが、これは製品を持たず開発段階にあるメーカーの巨額買収費用を研究開発費に含めているためで一時的なもの。糖尿病薬「ジャヌビア」のパテント切れで慢性疾患薬の売上げが今後急減し、大型化が期待される肺高血圧症で初のバイオ製剤「ソタテルセプト」(一般名、日本は承認申請中)、「キイトルーダ」を中心とした抗がん剤、「ガーダシル」などワクチンが主力品となっていくため、将来的に社員構成は変化していくだろう。メルクは23年に社員数を3000人増やし7万2000人としている。
表1で日本のエーザイは毎年最下位が多く、アステラス製薬も最下位に近い。大塚ホールディングスは食品事業を含むので専業大手と比較できない。表2でエーザイは1人当たり売上高が47.7万ドルでテバやヴィアトリスより少し多いだけだ。アルツハイマー病薬「レケンビ」が順調に伸びていくかにかかっている。
表3では経営効率を表す指標としてROE(「純利益÷株主資本の2年平均」で計算)とROA(総資産純利益率)のランキングを示した。日本のメーカーは第一三共がエンハーツ急増で22年のROEの7.8%から12.8%へ上昇し、日本メーカーでトップとなったが、平均の18.1%には届かず、ROAは2.2%。23年は大手が全体的に純利益率や純利益額が悪化しているものの、武田薬品とアステラス製薬は22年も下位で23年のROEは3%に満たない。アストラゼネカは販管費率が高くても純利益率が13%あり、生産性では負けていた第一三共のROEを上回った。