しかし思い出すのは、降圧薬のARBや、イメグリミンと同じ血糖降下薬であるDPP-4阻害薬である。代替評価項目を検討した研究では心臓血管系保護作用が強く示唆されながら、無作為化試験を実施すると心臓血管系疾患抑制/予防効果は証明されなかった。イメグリミンが同じ轍を踏まないという保証はない。


 糖尿病治療で「エビデンスのない」薬剤が汎用される背景には、日本糖尿病学会指針の影響もあるのだろう。最新のガイドラインも引用している「2型糖尿病の薬物療法のアルゴリズム(第2版)」において、合併症はすでに併存していない限り、薬剤選択時の考慮事項ではない。合併症「予防」という概念は希薄だ。


 本当に薬剤費を負担するに値する薬が処方されているのか、私たち患者こそが、もう一度見直す必要がある。



① DOM 2024 Nov 26

② Lancet 1998; 352: 854