——2月7日、三菱ケミカルグループが田辺三菱製薬をベインキャピタルに約5100億円で売却すると発表しました。
末包 三菱ケミカルグループはIR活動のなかで、田辺三菱をしっかり伸ばしてくれるベストオーナーに売却していきたいとおっしゃっていました。成長性はしっかりとあると判断し、お預かりしました。 将来は縮小均衡していくと考えたら、出せるような価格ではありません。企業価値の増大に取り組んでいきます。
——田辺三菱の買収はいつから検討を。
末包 いわゆる投資ファンドは世の中にたくさんありますが、ベインキャピタルの特徴として、グローバルのライフサイエンスチーム、つまり創薬パイプラインに投資することに特化したチームを保有しているという点があげられます。我われはパイプラインの成功確率などを含め判断できるので、このチームと日本の投資チームとの協業でしかできない取引もあると思っていました。そのなかのひとつが田辺三菱です。非常に興味を持って見ていました。
なぜ田辺三菱に投資をしたのか。それは成長すると考えているからで、縮小均衡する会社とは思っていません。現在、表出している日本事業の価値とポテンシャルを見るとギャップがあります。ライフサイエンスチームの投資先の保有する創薬パイプラインをかなり活用できますし、日本の投資チームが持つ企業価値の変革の知見も活用できます。日本政府はドラッグラグ/ロスの解消に向けた規制もプラスに改革しているため、インライセンシングも効果的にやりやすくなる環境に変わってきています。そこは積極的に進めていきたいです。田辺三菱の企業価値の向上だけでなく日本の製薬業界全体の発展、社会問題の解決にもつながっていくと思っています。