2月初め、警察庁は全国のドラッグストアで外国人による組織的な大量万引きが多発していることから、業界団体の日本チェーンドラッグストア協会に防犯指針を交付、要請した。指針の内容は、従業員による巡回強化のほか、外国語での店内放送による注意喚起、店舗間での情報共有、警備員による監視体制、防犯カメラの増設と万引き防犯ゲートの設置、外国語表記の啓発ポスターの掲示、高額商品、医薬品は空箱陳列などで、さらに電子マネー販売店舗には特殊詐欺による不正カード使用への注意喚起というのもある。
警察庁によれば、24年のドラッグストアでの万引き被害の認知件数は1万5161件で、さらに増加傾向にあるという。むろん、日本人の万引きが多いのだが、目立つのは1件あたりの被害額で、日本人の万引が1万774円だったのに対し、外国人による被害額は7万8936円に上るというのだ。
ご存知の人も多いだろうが、この数年、国内に在留する主にベトナム人数人のグループによるドラッグストアでの大量万引き事件が相次いでいるのだ。捜査関係者によれば「指示役がいて、その指示に従って国内にいるベトナム人がグループでドラッグストアから化粧品や医薬品を大量に万引きし、海外に輸出している。最早〝トクリュウ〟と同じです」という。
昨今は、マンホールの蓋から消火栓ホースの筒先や太陽光発電所の銅線まで金目のものが端から盗まれているが、ドラッグストアにとって大量万引きは今や、最大の悩みのタネだ。