若手官僚の将来に期待
そのなかで3月4日の内閣府健康・医療戦略推進事務局主催の「VACCINE SYMPOSIUM 2025」は、20歳台と思しき各省からの官僚が中心となり企画された21年6月制定のワクチン戦略の進捗と将来に関するもので、好企画だった。彼らが今後各省で、今までのような垢まみれにならないように真摯に祈っているし、それを支援するのが上の世代の責務ではないのか。発言では河岡義裕教授(東京大学国際高等研究所新世代感染症センター機構長)の「mRNAワクチン開発を決めた米国のワープ・スピード計画時と日本が同じ立場にあったとしたら決断できたか」との問いは重く、隣にいた手代木功塩野義製薬社長、大曲貴夫国立国際医療研究センター国際感染症センター長とともに否定的だった。同教授は「マインド・イノベーション」が必要と力説し、それが薬事規制、製薬業界にもそのまま当てはまる。
国際的評価が芳しくない再生医療等製品の条件・期限付き承認、話題にもなっていない内資企業向けと批判された緊急承認制度に続き、第Ⅱ相の探索的試験の結果で承認する新たな条件付き承認制度も、英国などからの批判により見直しを迫られた米国のブレークスルー承認制度以上に、また『ネイチャー』に批判されないよう、少なくとも米欧既承認品目の審査を簡略化するなどの、限られた審査戦力の集中投入が必要だろう。品質規制でも、将来の見えない日本薬局方について決断の時が迫っている。