日本の「医療用医薬品プロモーションコード」に当たる「医薬代表登録管理法」が20年12月に施行されたが、数年経った今も、医薬品企業によるコンプライアンス違反がしばしば起きている。このような現状を踏まえ、中国政府は新たな指針を打ち出した。それは、国家市場監督管理総局(SAMR)が25年1月10日付で公表した「医薬品企業による商業賄賂リスク防止のコンプライアンスガイドライン」だ。


 SAMRによると、このガイドラインは、医薬品や医療機器の研究開発、製造、流通などを行う医薬品企業及び関連機関にとって、遵守すべきものだという。ちなみに、関連機関にはCRO(医薬品開発業務受託機関)、CMO(医薬品製造受託機関)、CSO(医薬品販売業務受託機関)、関連学会・協会などが含まれる。


 ガイドラインは、①総則、②医薬品企業による商業賄賂リスク防止のためのコンプライアンス管理システムの構築、③医薬品企業の商業賄賂リスクの識別と防止、④医薬品企業の商業賄賂リスクへの対応——の4章(49条)から構成されている。


 ③は、▽学術訪問交流▽業務上の接待▽コンサルティングサービス▽アウトソーシングサービス▽値引き・コミッション▽寄付・スポンサーシップ・資金提供▽医療機器の無償提供▽臨床研究▽小売販売——の商業賄賂リスクの種類をまとめ、それぞれのリスク要因と注意すべき点と実施してはいけない事例を示している。


 ここで、日本の医薬品企業と関わりが深い「学術訪問交流」「業務上の接待」「寄付・スポンサーシップ・資金提供」を紹介したい。