厚生労働省は2月17日、「医療用医薬品の安定供給確保に関する関係者会議」に、後発品の品目統合に伴う薬事手続きに関する通知を発出したことを報告した。3日前の14日付で医薬局医薬品審査管理課長、監視指導・麻薬対策課長が出したものだ。通知の表題は、「医療用医薬品の品目統合等に伴う製造方法等の変更手続きに係る手続きの迅速化について」としている。
後発品の供給不足状況は25年1月時点で、品目数で供給停止が1009品目(67%)、限定出荷が1073品目(59%)と報告されている。供給不足は約3年以上続いており、国民の不信感は高まっている。後発品業界は多品種・少量生産で製造会社数は200社弱ある。その結果、価格競争によりガバナンスが後回しされ、利益志向に走ってきた体制に対し、医療界からの信用は失墜した。
この供給不足への対応のため、医政局が設けた「後発医薬品の安定供給の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会」は企業間の品目統合や多品種・少量生産を見直し、採算がとれる生産体制が必要と、24年5月にまとめた報告書で指摘していた。今回発出したのは、品目統合等に伴う製造方法などの変更手続きのうち、とくに迅速に行う内容について薬事手続きを通常6ヵ月要するものを1.5ヵ月に特例的に縮めることを行う通知である。
医薬品においても「委託製造」という考えがあり、製造工程の全部または一部を他社に委託して製造する慣習がある。製造販売承認は自社のブランドとなるが、製造工程をワールドワイドにどこで行っても、製造物に対し全責任を負えば問題ないのだ。また、後発品業界は承認申請段階では「共同開発」を進め、試験の一部だけを実施あるいは参加することにより自社ブランドを獲得してきた。これが多品目構造を生んだと指摘する有識者もいる。