▽CMSのイノベーション・センター(CMMI)はオバマケア(アフォーダブルケア法=ACA)で設けられた
▽しかしFFSを価値に基づく支払いケアへ誘導する取り組みは多くの障害に直面した
【出典】Brad Smith, M. Smith, CMS Innovation Center at 10 years – Progress and lessons learned (Sound Board), N Engl J Med 2021年 2月25日
センターズ・フォー・メディケア&メディケイド・イノベーション(CMMI)は、『メディケア・アドバンテージ価値に基づいた保険設計』(MA-VBID)の年内打ち切りを決めた。法規の枠を超えて脆い高齢受給者の特別なニーズに応える付加給付の提供を柔軟に認め、状態の改善を通じて、ケアの質と患者満足度を改善し、長期的に節減を見込む。
民間プランが高い連邦支払いを引き出す契機になり、2021〜22年に23→22億ドルと政府に「実質的、緩和不能な費用」になった。費用節減、費用効果的なケアの活用を導く展開を描いたが、収益拡充のテコに使われた。いつもは出来高払いに付け込む診療提供者を批判する保険の行動だった。
多くの場合、一定の実験が計画を支持したはずの、医療費支払いと供給システムの欠陥是正、あるべき姿への誘導が、現実的な改革の障壁に直面し、経済的思惑につけ込まれる最新の例だ。
メディケア&メディケイドサービス庁(CMS)のCMMIは、FFS(出来高払いと多様な供給システム)を、VBC(価値に基づいたケア環境)に移行させる具体策を探る。質を落とさず費用を抑える、あるいは費用を増やさず質・患者満足度の向上を促進するプログラムを試して、実効性を確認できたら、本制度に取り込む、継続的な専門組織としてオバマケア改革(ACA)で設けられた。10年単位の資金100億ドルが用意され、議会承認手続きなしに進める大きな権限を与えられている。
最初の10年は苦闘続きだった。2021年1月、4代目CMMIセンター長に就いたブラッド・スミスは、VBCは「なお米国医療の変革に有望」だが、「真の節減、質改善のモデル優先づけ」に集中を説いた。メディケアFFSの40%をVBCにシフトさせたが、多くが赤字に結果した(図)。