DOTSは、結核の治療・管理に携わっている方には極めて常識的で、日常的な用語だが、残念ながら、一般市民にはあまり馴染みのない用語である。しかし、DOTSは結核の適正な薬物療法のあり方を世に問い、この運動により後進国を含めた結核治療に画期的な成果を収めつつある、世界的な結核征圧運動を示す略語である。 DOTSとはDirectly Observed Treatment, Short-courseの略で「直接監視下短期化学療法」、または平易に「直接服薬確認療法」などと訳されている。ところが、DOTSは単に、それを意味する略語として扱われているのみでなく、「WHOの結核対策戦略」=「DOTS戦略」として、広く世界中に展開されている。 WHOの結核対策の基本をなす「DOTS戦略」とは、次の5要素からなっている。①結核対策への政府の強力な取り組み。②有症状受診者に対する喀痰塗抹検査による患者発見。③少なくとも、すべての確...
DOTSは、結核の治療・管理に携わっている方には極めて常識的で、日常的な用語だが、残念ながら、一般市民にはあまり馴染みのない用語である。しかし、DOTSは結核の適正な薬物療法のあり方を世に問い、この運動により後進国を含めた結核治療に画期的な成果を収めつつある、世界的な結核征圧運動を示す略語である。 DOTSとはDirectly Observed Treatment, Short-courseの略で「直接監視下短期化学療法」、または平易に「直接服薬確認療法」などと訳されている。ところが、DOTSは単に、それを意味する略語として扱われているのみでなく、「WHOの結核対策戦略」=「DOTS戦略」として、広く世界中に展開されている。 WHOの結核対策の基本をなす「DOTS戦略」とは、次の5要素からなっている。①結核対策への政府の強力な取り組み。②有症状受診者に対する喀痰塗抹検査による患者発見。③少なくとも、すべての確認