ヒトの細胞は200種類以上、約60兆個ある。この膨大な数の細胞の元祖を探ると、受精卵というひとつの細胞に辿り着く。ES細胞(胚性幹細胞)は98年、受精卵の胚から、米ウイスコンシン大学トムソン教授らによって取り出された。 ES細胞は様々な細胞へ分化できる多能性と、非常に高い増殖能を持っている。すべての細胞(組織)になり得る多能性と、強い自己複製能力・増殖能から、ES細胞は「万能細胞」とも呼ばれている。すなわち、ES細胞は細胞の出生地(起源)を、万能細胞は細胞の機能を示す意味でつけられた名称である。ES細胞の持つ多能性と増殖能は、発展しつつある再生医療の原材料としての特性を備えており、世界の最先端研究者の重要な標的にされてきた。 今回、京都大学山中伸弥教授らはヒト成人皮膚に由来する線維芽細胞に遺伝子を組み込み、ヒトES細胞と同じ形態、増殖能、遺伝子発現、分化...
ヒトの細胞は200種類以上、約60兆個ある。この膨大な数の細胞の元祖を探ると、受精卵というひとつの細胞に辿り着く。ES細胞(胚性幹細胞)は98年、受精卵の胚から、米ウイスコンシン大学トムソン教授らによって取り出された。 ES細胞は様々な細胞へ分化できる多能性と、非常に高い増殖能を持っている。すべての細胞(組織)になり得る多能性と、強い自己複製能力・増殖能から、ES細胞は「万能細胞」とも呼ばれている。すなわち、ES細胞は細胞の出生地(起源)を、万能細胞は細胞の機能を示す意味でつけられた名称である。ES細胞の持つ多能性と増殖能は、発展しつつある再生医療の原材料としての特性を備えており、世界の最先端研究者の重要な標的にされてきた。 今回、京都大学山中伸弥教授らはヒト成人皮膚に由来する線維芽細胞に遺伝子を組み込み、ヒトES細胞と同じ形態、増殖能、遺伝子発現、分化能