シリーズ『くすりになったコーヒー』



 肝臓がんについては何回か書いてきましたが、メタ解析については書いていませんので、今日はそれを書いて〆と致します。


●コーヒーを飲んでいると肝臓がんになるリスクが下がる(詳しくは → こちら)。


 解析の対象に選んだのは16編の原著論文です。著者は「論文数が少ないので、更なる研究の積み重ねが必要」と書いていますが、本当に必要なのは、疫学研究とは別の介入試験(臨床試験)ではないでしょうか?有効成分を解明することと、有効性のメカニズムを研究することも、更なる進歩につながるでしょう。


 図をご覧ください。16編すべてで負の相関関係が認められ、相対リスクは<1になっています。最下欄の赤枠が全データのまとめで、相対リスクは0.5ということですから、コーヒーを1日5杯以上飲む人の発がんリスクは、飲まない人の半分まで下がることになるわけです。



 ということですから、コーヒーが肝臓がんを予防することはほぼ確実になったといえます。国立がん研究センターのホームページでも、コーヒーの効果については「ほぼ確実」であると認めています(詳しくは → こちら )。


 次に、肝臓がんの原因別にみるとどうなるでしょうか? まずは肝臓がんの大部分を占めるウイルス性肝炎ががんになるリスクです。コーヒーを飲んでいる人のリスクは、飲まない人の4分の1程度まで劇的に下がると報告されています。しかも、コーヒーを1日3杯以上飲んでいると、抗ウイルス治療の薬の効き目が2倍に跳ね上がると報告されています(第110話を参照)。


 現在、C型肝炎ウイルスの治療薬が盛んに研究され、新薬の治験も複数実施されています。近い将来に新薬が市場に出る可能性は高いといえます。しかし、どんなによいくすりでも、効かない人、副作用が出る人は必ずいるので、コーヒーが友達という生活習慣は大いに役立つこと請け合いです。


 アルコール性肝炎の場合は、肝炎それ自体をコーヒーで予防できることがほぼ確実になっています(第32話を参照)。最近は非アルコール性肝炎についてもコーヒー研究が進んできました。これについてもどうやらコーヒーはリスクを下げるように作用しています(詳しくは → こちら)。


 こういう訳ですから、アルコールの毒を消すコーヒーは「百薬の長」に値するのでしょうけれど、アルコールも量が増えなければアルツハイマー病を予防したりしますので、ここはちょっとアルコールに遠慮して、「コーヒーは百薬の王」ということに致します。


●百薬の長は「アルコール飲料」


●百薬の王は「珈琲」


 それでは「コーヒーメタ解析」はこれで終わりと致します。


(第175話 完)


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