シリーズ『くすりになったコーヒー』


●浅煎り豆の味は酸味です。


 生豆を焙煎したとき、最初にできるのはギ酸です。ギ酸の味はかなり鋭い酸味です。食酢と違う独特の酸味で、食べものならコーヒー以外にありません。浅煎りコーヒーは、ある意味貴重な飲みものなのです。


 ギ酸の次にできる酸は酢酸で、これは食酢と同じです。焙煎中に、ほんの一瞬ですけれど、ギ酸と酢酸の量がカフェインよりも多くなる瞬間があるのです。多分、第1ハゼ音が聞こえる少し前の出来事です。


 糖分が多い高級豆ほど酸味が強く出てきます。それは酸の素になる糖分がたくさん入っているからです。よく「モカの豆は酸っぱい」と言いますが、糖分が多い証拠です。



 第1ハゼ音の前、豆の色は黄色か少し茶色になって、酸っぱいけれど、コーヒーの香りが漂えば申し分ありません。そんな豆の特徴は、ギ酸と酢酸以外にも大量のクロロゲン酸を含んでいます。おまけにクロロゲン酸の効き目を邪魔するHHQは未だほとんどできません(第71話第81話を参照)。そういう豆を美味しく淹れるには、今のところ自分で煎るしかなさそうです。


●ちょっと黄色くて酸っぱくて、それでも香りが一人前のコーヒーなら、飲めば血圧が下がります(下がるはずです)。


 クロロゲン酸の作用には他にも良いことが色々あります。一番役に立ちそうなのは、抗酸化作用。何せクロロゲン酸は、ポリフェノールの親分ですから。


●ポリフェノールの親分たち


□コーヒーのクロロゲン酸(カフェ酸+フェルラ酸)


□緑茶のカテキン


□赤ワインのレスベラトロール


□紫蘇の葉のルテオリン


□柑橘類のルチンとケルセチン


□大豆のダイゼイン


 他にも子分たちが沢山います。野菜と果物と豆とナッツ、およびそれらの製品です。


●「ポリフェノールは合わせ一度に用いるべし」


 これについては又いつか書いてみたいと思います。


(第88話 完)


栄養成分研究家 岡希太郎による
『コーヒーを科学するシリーズ』を購入される方は下部のバナーからどうぞ