シリーズ『くすりになったコーヒー』


 カフェインで未熟児無呼吸症を治療すると、脳神経の障害なしに成長することがわかりました(第35話を参照)。昔からの方法が、ようやく最近になって確かめられたのです。


 他にも、現在進行中のカフェイン臨床試験として、骨の癌、骨肉腫の治療があります。金沢大学の土屋弘行教授が中心になって進めている治験で、中間報告では将来有望とのことです(詳しくは → こちら )。


 今回は、また新しい情報を追加します。


●C型肝炎の治療に「コーヒー」を使う(詳しくは → こちら )。


 図をご覧ください。この図は、久留米大医学部の佐田教授らの論文を日本語に書き変えたものです。C型慢性肝炎を抗ウイルス薬で治療するときの指針です。患者がもし脂肪肝を併発していれば、「コーヒーを飲むように指導する」というのです。図中、赤で示した部分です。



 脂肪肝にはこれと言った治療薬がありません。C型肝炎には脂肪肝が併発することが多いので、治療薬がないということは、いずれインスリン耐性を起こして糖尿病になるということなのです。肝臓癌へのリスクも高まります。そうならないうちに、コーヒーを飲むということです。


 第59話に、コーヒーを飲む人はアルコール性肝炎のリスクが低いことを書きました。アルコールの飲み過ぎも脂肪肝を作るので、コーヒーが効いていたのです。アルコールでもC型ウイルスでも、コーヒーは脂肪肝を抑制するので、癌への移行リスクを下げてくれるというのです。


●原因の如何を問わず、コーヒーは肝臓のくすりらしい。


 臨床医にとって大事な治療指針に、コーヒーが加わったということは、いよいよコーヒーが“百薬の長”として、独自の立場を築き始めたということではないでしょうか。是非そうであって欲しいものです。


 皆さん、できるだけ美味しいコーヒーを飲みましょう。


●美味しいコーヒーには副作用がない。


 (第78話 完)


栄養成分研究家 岡希太郎による
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