今度は動物用ワクチンで、卸3社に立入検査

 公正取引委員会は10月8日、山形県や同県畜産協会が発注した動物用ワクチンの入札で談合していた疑いがあるとして、メディパルホールディングス子会社のMPアグロ(北海道北広島市)、バイタルケーエスケー・HD孫会社のアグロジャパン(新潟市)、小田島商事(岩手県花巻市)の3社に対し、立ち入り検査に入った。関係者によると、3社は遅くとも20年度以降、畜産の牛や豚用のワクチンの入札で、事前に受注価格や企業を決める受注調整をしていた疑いがあるという。今回の動物用ワクチンの談合疑惑に対する調査は、刑事告発を目的とする「犯則調査」ではなく、違反が見つかれば課徴金納付命令や排除措置命令を下す「行政調査」に該当するようだ。


シコニアが始動、武田やアステラス出資の合弁

 武田薬品とアステラス製薬、三井住友銀行が出資する合弁会社「シコニア・バイオベンチャーズ」は10月9日、8月に同社を立ち上げたと発表した。国内のアカデミアやベンチャー、製薬企業がもつ有望な創薬シーズをもとに、開発戦略の策定や新しいデータの取得を行うことで、初期の創薬研究からスタートアップ企業設立までサポートする。社名はコウノトリの学名から名付けた。社員数は非開示。出資比率は武田とアステラスがそれぞれ33.4%、三井住友銀行が33.2%。本社は湘南ヘルスイノベーションパーク内に置き、代表者は同施設を運営するアイパークインスティチュートの藤本利夫社長が兼務する。


武田、聖マリアンナと観察研究、病院待ち時間で

 武田薬品工業は10月7日、がん患者の血液検査の流れなどを見直すことで治療を受ける病院内での待ち時間を短縮できないかを探る観察研究を聖マリアンナ医科大学と開始したと発表した。全身化学療法を投与予定または投与中の18歳以上のがん患者が対象。今月から登録期間とし、データを集計・解析後、結果を来年度中に公表する計画だ。全身化学療法実施日前に協力医療機関で採血を行い、担当医が事前にその結果を入手することで、待ち時間を短くできないか模索。長い待ち時間が苦痛となり、患者にストレスを与えるとされるなか改善を図る。


小野、リガケムと固形がんADCでライセンス契約

 小野薬品工業は10月10日、韓リガケムバイオサイエンスとの間でライセンス契約と創薬提携契約を結んだと発表した。ライセンス契約は、リガケムが創製した抗体薬物複合体(ADC)「LCB97」が対象。固形がんを対象に、全世界で独占的に開発・製造・商業化する権利を得る。小野は契約一時金、研究開発の進捗や売上高に応じたマイルストンとして最大7億ドルを支払う。リガケムは上市後の売上高に応じた段階的なロイヤルティを小野から受け取る。LCB97は、リガケムが独自創薬基盤を利活用し、複数の固形がんで高発現しているL1細胞接着分子(L1CAM)を標的に創製したADC。がんモデルマウスに対し、強い抗腫瘍効果を発揮しているという。


日本新薬、経営学の基礎知識習得で社内認定資格

 日本新薬は10月7日、経営学の基礎的知識を網羅的に習得したことを証明する社内認定資格を制定したと発表した。海外やデジタル革新(DX)に精通した人材の確保・育成を中期経営計画で掲げるなか、実務につなげるための社会人としての基礎能力や経営学の知識も欠かせないと判断。社員への自立的な自己研鑽機会の提供にもつなげる。制定したのは「SiMBA(シンバ)」。①所定のプログラムを受講して経営学の基礎知識を網羅的に学習、②所定の試験を受験して基準をクリア、③役員やMBA有資格者との面談——という3段階を経て得ることができる。これにより、経営学の基礎知識を持つ社員の増加を果たし、会社全体の底上げもめざす。