武田薬品工業
【証券コード】4502 【上場】東証プライム



無形資産減損損失が縮小

24年度通期は下期に後発品懸念


 武田薬品工業の今24年9月中間期(IFRS=国際会計基準)は売上収益が前年比13.4%増の2兆3840億円、営業利益が194.0%増の3506億円、Core営業利益(無形資産償却費、減損損失など除外)が22.3%増の7199億円で着地した。為替は米ドルの平均レートで1ドル=154円と前年比で14円の円安。1円円安で売上収益は57.6億円押し上がる一方、IFRSの営業利益は4.5億円押し下げる要因になる。主要製品別の売上収益では主力の炎症性腸疾患薬「エンタイビオ」が米国での皮下注用ペン製剤発売もあり2桁成長に回帰。遺伝性血管性浮腫薬「タクザイロ」などの成長製品・新製品群が寄与。独占販売期間終了の「ビバンセ」の落ち込みも期初想定より緩やかだった。地域別では、日本は高血圧症薬「アジルバ」の独占販売期間終了の影響などで5.3%減と低調ながら、海外は米国エンタイビオ成長などで15.7%増。海外売上比率は前年比1.8ポイント増の90.9%と9割大台に。費用面では通期計画の研究開発費7700億円のうち上期は45%弱しか消化しなかったことがCore営業利益に寄与。また、無形資産減損損失が前年同期の1158億円から278億円に縮小したことが、IFRSでの営業利益大幅増につながった。



通期増額でもCore減益


 今25年3月期について同社では期初計画比で売上収益を1300億円、営業利益を400億円、Core営業利益を500億円、それぞれ増額修正した。米国ビバンセの後発品浸透が下期も期初想定より緩やかなことが売上収益上振れの要因。ただ、ビバンセが後発品に浸食されることに伴う粗利減は避けられず、開発中新薬の第Ⅲ相開始に伴う研究開発費増もあり、Core営業利益は前期比0.5%減益にとどまる。日本と米国で人員整理の方針を明らかにしており、その規模によってはIFRSでの営業利益に反映される「その他の営業費用」などに影響を及ぼす可能性もある。