第一三共
【証券コード】4568 【上場】東証プライム
主力2品目が想定以上に好調
24年度通期業績も上方修正
第一三共の今24年9月中間期(IFRS=国際会計基準)は売上収益が前年比21.5%増の8827億円、営業利益が96.6%増の1869億円、コア営業利益(減損損失など一過性の収益・費用除く)が74.8%増の1666億円で着地した。為替は1ドル=152.62円で、前年同期比11.62円の円安水準。業績への為替影響としては、売上収益を396億円押し上げた一方、売上原価や販管費などの費用増でコア営業利益を410億円押し下げた。
主要製品別の売上収益では主力の抗がん剤「エンハーツ」がHER2陽性乳がんの2次治療、および化学療法既治療HER2低発現乳がん向けを中心に全地域で2桁以上の成長率を達成、アストラゼネカが売上計上する国・地域での共同販促収入を含めた全世界での製品売上は前年同期比50.7%増の2613億円。また、抗凝固剤「リクシアナ」は、期初段階では日本での後発品発売による競合も想定されていたが上期は影響が出ず、全世界合計で26.4%増の1741億円となった。利益面では為替影響によるコスト増のほか、エンハーツに係るアストラゼネカとのプロフィットシェア費用増や、「5DXd ADCs」の研究開発投資増もあったが、売上収益拡大で吸収した。
主力2製品拡大で通期も増額
今25年3月期の通期については、同社は期初計画に対し、売上収益を800億円、コア営業利益とIFRSでの営業利益をともに500億円増額。期初計画に比べて特に伸びるのは、日本と欧州を中心とするリクシアナだ。エンハーツも製品売上が伸びるほか、米国で化学療法未治療のHER2低発現乳がんの開発マイルストンなどが新たに計上される。
為替影響による増額分は、売上収益で370億円分、コア営業利益では80億円分を見込んでいる。