10月31日の厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会において議論された「全国的なGMP調査体制の構築」「製造管理者の薬剤師要件」そして規制強化をまず取り上げたい。


 GMP調査体制は、7月の「①後発医薬品の承認申請時の新規品目に係るGMP適合性調査と②医療用医薬品の区分適合性調査の主体をPMDA(医薬品医療機器総合機構)にしてはどうか」との当局提案が、当の都道府県などの反対により、「①後発医薬品(初ゾロに限る)の製剤工程に係る新規承認時の適合性調査と②区分適合性調査について、必要時には都道府県に加え、PMDAも調査を行うことができるように」との案になり、一応その方向が了承された。医師会委員などは相変わらず「都道府県の調査体制の維持」にこだわり、グローバルレベルに並ぶ必要がある日本の課題がまったくわかっていない。また、東京都の薬務課長も厚生労働省の提案に強く反対しながら、同省に支援を依頼するという訳のわからない構図になっている。


 唯一状況がわかっていたのは、花井十伍委員(ネットワーク医療と人権理事長)で、米欧ではGMP査察官が専門家であり、都道府県はゼネラリスト育成であるので、国際連携の面からも調査主体はPMDAとするのが本筋と指摘し、都道府県のやる気のある人材がPMDAに移るのが好ましいと正鵠を射た。地方庁から移るのに待遇面で問題があるのならば、PMDAはそれを改善すべきだろう。最近の日本についてよく言われている「現状維持バイアス」、変わるべきことは理解しているが、なかなか変われないことが根底にあるのではないか。これまでの延長線上では、大きな都府県やPMDAからの支援はあまり期待できないからである。部会で外国人から世界の流れを講義してもらえば、より適切な議論ができるのではないか。