東大薬学部の影響が非常に強い


 製造管理者の薬剤師要件も無理やり業界に強いて、薬剤師委員を満足させた構図だが、薬剤師のみという前提を疑いもしない姿勢は、合理的に議論できない従来の医薬の職能団体や薬学の限界を鮮やかに示したと考える。日本製薬団体連合会の委員はグローバルの事情に詳しいだけに、内心を伺ってみたいと思う。そもそも薬系技官・薬機規制ともに、東京大学薬学部(出身者)の影響が非常に強い。私に言わせると同大学出身者は(グローバルではなく日本において)「根拠なき自信に溢れ」、医薬品関係だから薬学という世界にも類を見ない安直な考えに便乗し、全国の薬学(学部規模が小さい)のなかの一握りの同大学出身者が行政関係ポストの多くを占めるという歪んだ構図となっており、それが薬機規制の遅れにも反映していると考えている。薬機規制・振興行政は、医学系や工学・農学・理学系など、他の分野にももっと門戸を開くべきである。


 制度部会で決定された多くの規制強化が、その原因のすべてが厚労省ではないにせよ、医薬局や医政局の政策ミスが多くの問題を招いたことを一顧だにせず決定されたことに強い違和感を覚える。11月1日号に指摘した点に加え、PMDAの品質人材について、新薬部門からジェネリック医薬品等審査部に一時的にでもかなりを移し、改正の動きが始まったとは言え、問題点がまだ解消されていない2月10日通知の見直し(多くの例示を含む)や承認事項の簡素化に人材をもっと投入すべきであるが、それも見えない。これは医薬局・PMDAの落ち度ではないか。


 医薬局課長経験者のひとりは、米欧で承認された新薬審査はより人数をかけずに、より早く承認できるはずと述べている。薬効分野によって人種差に気を付けるべき分野はあるが。また、申請に必要なCTD(国際化共通資料)についても、グローバルでは日本だけ別のCTDを用意するという話を聞く。日本の人口や経済規模が小さくなるにつれ、別のCTDを用意しなくてもいいような見直しが不可欠だろう。なお10月15日号で取り上げたYouTube視聴はスムーズだった。改善を喜びたい。


 それにしても、PMDAワシントン事務所が11月1日に開設されたのはいいが、そのなかで「三大規制当局の一翼を担う PMDA」とあり、世界の実情を知らない日本人しかそのようなことは言わないのではないか。強力経済官庁の枢要ポストの課長の話を聞く機会があったが、明確に「日本は大国ではなく、ミドル国」と述べていた。英国などを見習うべきと言う(英国はEUから離脱後、医薬品・医療機器の他の先進国の承認にかなり頼り、同国での迅速な上市化を図っている。今後の日本の行き方の参考になる)。