メドレックス、AD治療剤の治験を豪州で開始

 東証グロース上場のメドレックスは10月28日、開発中のアルツハイマー病(AD)治療剤「MRX-7MLL」の第Ⅰa相試験をオーストラリアで始めたと発表した。AD治療薬メマンチンをナノコロイド化することで経皮吸収性を大幅に高めることができる独自技術を用いている。健常人を対象に実施し、経皮吸収性と安全性を確認するのが目的。貼付剤であれば3日に1回から1週間に1回程度に投与回数を絞ることができ、患者やその家族、医療従事者らの負担軽減が見込める。また、服用し忘れ防止にもつながることが期待できるとしている。


厚労省、ドラッグ・ロスの解消へ企業に事情調査

 厚生労働省は10月25日、ドラッグ・ロスの解消に向け、国内で開発に着手されていない78品目の医薬品について、製薬企業側へ開発が困難な背景事情を尋ねる調査を開始した。調査は「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」を通じたスキームの一環で、学会や患者会の要望を待たずに厚労省自らドラッグ・ロス品目の需要や市場性を調べ、企業へ開発要請を行うもの。もし要請されても対応がむずかしい事情がある企業は、必要に応じて厚労省へ連絡するよう呼びかけた。7月の未承認薬・適応外薬検討会議では、86品目がドラッグ・ロス状態にあるとしてスキームの対象に挙げていたが、その後8品目で開発が進捗。78品目を対象に調査を開始した。


希少疾病薬、日本人データなくも申請可能と通知

 厚生労働省は10月23日、ドラッグラグ・ロス対策を念頭に、希少疾病薬などの臨床試験に日本人を組み入れていない場合でも、承認申請が可能となる具体的な条件を都道府県に通知した。日本人患者のアクセス確保の観点から、海外で臨床試験が実施されている場合や「極めて患者数が少ないことなどにより、追加の臨床試験を新たに実施することが困難な場合」に認めると例示。「得られている有効性・安全性に係る情報などから、総合的に日本人におけるベネフィットがリスクを上回ると見込まれる場合」も挙げたが、民族差の観点から臨床試験が求められるケースもあるとクギを刺した。


厚労省、実調の対象に敷地内薬局を追加

 厚生労働省は11月6日の中央社会保険医療協議会・調査実施小委員会で、次期診療報酬改定の基礎資料とする25年度の「医療経済実態調査」の調査項目に「敷地内薬局」を盛り込む案を提示した。24年度改定で敷地内薬局の点数を大幅に引き下げ、答申の附帯意見でも、敷地内薬局の「グループとしての評価のあり方」を継続課題としていたことを受け、詳しい実態を調べる。


条件付き承認で通知、適用受けやすくする運用

 厚生労働省は10月23日、医薬品審査で第Ⅲ相試験の省略などを認める「条件付き承認」の取り扱いについて、製薬企業が適用を受けやすくすることを都道府県に通知した。同制度の具体的なルールを定めた医薬品審査管理課長通知を改正。新たに欧米などで同制度に「準じる制度」で承認を得た品目に関しては、検証的試験の実施が予定されていることを前提に「積極的に本制度の活用を検討する」とした。製薬企業が同制度を念頭に申請していない場合も、審査過程で条件付き承認が適切と判断された場合に「本制度での承認を行う場合がある」とする。


支払基金、基礎的医薬品を巡るレセプト審査が急増

 社会保険診療報酬支払基金は10月29日の定例会見で、7月診療分のレセプト審査について、4月から基礎的医薬品の品目数拡大が要因で、同医薬品の処方は対象外となる「一般名処方加算」の査定が増えている状況を報告した。医科と調剤のレセプトを突合し点検したところ、前年同月比で34.2%増の19万5000件の査定があった。支払基金は要因として、基礎的医薬品を処方しているにもかかわらず、一般名処方加算の算定対象に加えて請求している事例が多い点を挙げている。基礎的医薬品をめぐっては、24年度薬価制度改革で「収載から25年以上経過」となっていた要件を「15年以上経過」に緩和するなどの変更を実施。新たに45成分171品目を対象に加えていた。これにより、一般名処方加算の対象外となる品目数も広がったが、依然として誤って請求している事例も残っているという。


再生医療学会が注意喚起、緊急命令受け

 日本再生医療学会は11月5日、会員が所属する医療機関が厚生労働省から再生医療等安全性確保法に基づく緊急命令を受けたことについて「大変遺憾」とするコメントを発表した。会員に対して注意喚起を行った。厚労省は10月25日、東京都内の医療法人輝鳳会「THE K CLINIC」と池袋クリニックの培養センターから同法による重大事態報告があったとし、再生医療の提供と特定細胞加工物の製造の一時停止を命じた。再生医療の提供を受けた患者2人が重篤な感染症を発症して入院した。