塩野義製薬
【証券コード】4503 【上場】東証プライム
国内低迷もロイヤリティ下支え
24年度通期は小幅上方修正
塩野義製薬の今24年9月中間期(IFRS=国際会計基準)は売上収益が前年比7.2%減の2140億円、営業利益が22.7%減の759億円で着地した。
売上収益の2割強を占める国内医療用医薬品事業は前年同期比50.5%減とほぼ半減、主力の感染症薬で新型コロナ薬「ゾコーバ」が市場シェアでは健闘したものの、4月の患者負担3割全面適用や8月以降の患者数大幅減が足を引っ張った。インフルエンザ薬「ゾフルーザ」も7〜9月の患者数がほぼゼロだったことが響いた。また、前期に計上したADHD薬のライセンス移管に伴う一時金250億円の剥落も減収要因となった。海外子会社/輸出は米国・欧州でのグラム陰性菌感染症薬「セフィデロコル」が牽引して23.6%の大幅増収となり、海外事業比率(ロイヤリティ収入除く)は3.3ポイント上昇の13.2%と2桁乗せ。ヴィーブ社向けHIVフランチャイズがほとんどを占めるロイヤリティ収入も27.1%増と売上収益を下支えしたが、国内の大幅減収は補えなかった。研究開発費は優先度の高い開発品への積極投資により前年比20.4%増えたものの、期初計画での想定以下に収まった。
HIV、海外、不眠症薬で増額
今25年3月期通期について同社は売上収益と営業利益を50億円、当期利益(株主帰属)を80億円、それぞれ上方修正した。HIVフランチャイズで103億円、海外で39億円の売上増額が大きい。国内医療用薬でも感染症薬などの上期未達分が減額要因となる一方、9月にネクセラファ—マジャパンが承認取得した不眠症薬「クービビック」を持田製薬との併売から塩野義単独販売に契約変更したことで下期は期初計画比2倍の売上30億円を目指す。
同社では不眠症をはじめとするQOL疾患を新領域に位置づけ、9月に国内申請した抗うつ剤「ズラノロン」も含め、新たな柱に育てる方針だ。