11月1日号に引き続き、新型コロナウイルスワクチンをめぐるMeiji Seikaファルマの迷走について書きたい。ワクチン行政の宿痾を象徴している。
私は、前回の寄稿で「コスタイベを法定接種の枠組みに組み込むことで、長期にわたり、(親会社の)明治(ホールディングス)が巨額の利益を得る、(中略)コロナワクチンを国が買い上げるからだ。現場で使用されようがされないが関係ない」と記した。同様の主張を、YouTubeチャンネル『郷原信郎の「日本の権力を斬る!」』など、いくつかの媒体で繰り返している。私の主張を取り上げたメディアには、Meiji Seikaから抗議を受けたところもある。同社は、厚労省と買い上げの契約はなく、通常の医薬品と同じ扱いで取引されているという。
これは額面通りには受け取れない。9月24日に厚生労働省が発表した「10月からの定期接種化等について」の資料のなかで、コスタイベが約427万回接種分供給されると記載されているからだ。
この発表を受けたメディア報道が面白い。読売新聞は9月27日の夕刊で「国は任意接種分も含め、約3200万回分を確保した」と紹介している。この記事は、読売の記者クラブのメンバーが、厚労省の役人のレクを受けて書いたものだろう。そのうえで、記者は「供給」されるのではなく、「確保」したと報じた。「確保」するためには、厚労省とMeiji Seikaの間で、何らかの「契約」が存在しなければならない。これは、Meiji Seikaの公式見解と食い違う。いずれが正しいのだろうか。