日本新薬
【証券コード】4516 【上場】東証プライム
ビルテプソ、ウプトラビが牽引
24年度通期は再度の上方修正
日本新薬の今24年9月中間期(IFRS=国際会計基準)は売上収益が793億円と前年比8.2%の増収ながら、営業利益は14.4%減の178億円で着地した。売上原価率は薬価改定が響いたものの、粗利の大きいロイヤリティ収入や医薬品の構成比増加により3.1ポイント改善。ただ、委託研究費増に伴い研究開発費が33.7%増え、為替差損益が前年の差益22.6億円から差損19.3億円へと42億円悪化したことが営業利益に響いた。8月7日に修正した中間期予想に対し、売上収益は35億円、営業利益は28億円上振れている。
売上収益の主要品目別(表2)では、医薬品が12.3%伸びた一方、機能食品はプロテイン製剤の販価下落等で12.1%減少。医薬品は主力のデュシェンヌ型筋ジストロフィー薬「ビルテプソ」が為替の円安効果もあり米国で40.7%増と大幅続伸、日本でも6.0%増と順調。肺高血圧症薬「ウプトラビ」は国内が15.6%増、海外導出先からのロイヤリティ収入(工業所有権等収益に含む)も円安効果で拡大。5月発売の急性骨髄性白血病薬「ビキセオス」が実質4ヵ月で22.3億円を売り上げたことも寄与した。
24年度通期は営業益横ばいに
今25年3月期通期について日本新薬は再度の予想修正を発表。売上収益は30億円、営業利益は10億円、当期利益は10億円、それぞれ上方修正された。8月修正予想に対する中間期の上振れ分よりも、通期の増額幅を抑えた。ウプトラビの海外ロイヤリティやビルテプソの米国売上には円安も寄与する。が、研究開発費は導入品の研究開発費負担増で8月修正予想より6億円拡大。これまで見込んでいなかった為替差損も20億円を予想。中間期の差損19.7億円がそのまま残る形となるが、期末為替想定は1ドル=140円であり、現状の150円台が続けば営業利益の上振れ要因となる可能性もある。