畑違いの薬価政策や財政の話だが、製薬業界も中間年改定廃止の要求を止め、日本医師会が主張する「社会保障関係費の伸びを高齢化の伸びの範囲内に抑制するというシーリング」を撤廃すべきという「基本主張」で各医療界とより深く共闘すべきだ。
一方、日医は嫌がるが、また業界のなかの利害は分かれるが、無駄な投薬の解消策やOTC類似薬の保険外しを訴えて、国民に「製薬業界の苦境=国民の不利益」を理解してもらうために、業界も身を切る覚悟であることを広く国民に訴える必要がある。そうでないと、いつまでも予見性のない薬価制度上の手当てについて当局に感謝を強いられるだけで、イノベーション再興は遠いだろう。
田辺三菱製薬が米投資ファンドのベインキャピタルに売却され、住友ファーマも切り離しを模索されている。大谷翔平級の小野薬品の「オプジーボ」も28年米国、31年日本で特許が切れると報道されている。中外製薬や第一三共など一部会社を除き、このように日本の製薬(関連)業界は後発品企業を含め、まさに正念場に来ている。再生・細胞治療に賭け過ぎている現状にも危機感を覚える。最早ソフト・ランディングを願っている場合ではない。