ツムラの躍進と小野の絶望
表3の製薬企業上位20社では、冒頭で記したように本誌調査で薬価改定の影響が大きかった企業のダメージが大きい。小野薬品はメルクバイオファーマの抗PD-L1抗体「バベンチオ」の市場拡大再算定の類似品に該当してオプジーボの薬価が15%の引き下げとなり、相良暁会長は本誌に対し、「今回ばかりは許せない。ルール自体が理不尽」と語った。
29.9%増を記録した8位のファイザーは「コミナティ」「プレベナー20」といったワクチンが貢献した。11位のサノフィは14.7%増だが新薬の「ベイフォータス」「オルツビーオ」が牽引、ツムラは漢方薬が不採算品再算定に伴う薬価引き上げで大きな成長を遂げた。販促会社レベルというのは「MRによる情報提供活動を通じて販促活動を行なっている製薬企業」を示すが、ツムラはエーザイや塩野義製薬を上回ったことになる。
表4の上位10製品では、オプジーボの引き下げに怒り心頭の小野薬品に比べ、ライバル品であるMSDの「キイトルーダ」は市場拡大再算定の対象とならず、絶好調である。新型コロナウイルス感染症治療薬「ラゲブリオ」の大幅マイナスを吸収し、MSD全体でも1.9%増の成長となった。
武田薬品工業の「タケキャブ」はいわゆる生活習慣病薬として大健闘の部類に入る。胃薬をよく使う日本人にマッチした製品をコンスタントに売る力もさすがだが、武田全体で見るとマイナス成長なのは寂しい限りである。