中外製薬、新たな低・中分子合成原薬製造棟に期待
中外製薬の田熊晋也生産技術本部長は2月26日、藤枝工場(静岡県藤枝市)で3月から稼働する低・中分子合成原薬製造棟「FJ3」の見学会で、新棟が中分子医薬生産の軸になると強調した。既存の「FJ1」(03年稼働)、「FJ2」(22年稼働)に、新たにFJ3が加わり「開発から初期商用まで自社の一貫生産体制が整う」と語った。FJ3は高い薬理活性を持つ低・中分子原薬を製造し、第Ⅰ相試験中の「LUNA18」など、中外が注力している中分子医薬の生産でも大きな役割を担う。
協和キリン、バイオ医薬品原薬製造棟の竣工式開催
協和キリンは2月26日、群馬県にある高崎工場の敷地内に建てたバイオ医薬品原薬製造棟の竣工式を開き、施設を報道陣に公開した。宮本昌志社長は記者団に対し、新設の目的は「バイオ医薬品の開発のスピードアップが一番」と説明。そのうえで、米ノースカロライナ州に建設している革新的バイオ医薬品の生産拠点になる工場と「技術や人材、新しい情報などをシームレスに共有し、製造能力をぐっと上げていく」と意気込みを示した。新設したバイオ医薬品原薬製造棟は、治験原薬の製造のパイロット設備とGMPに準拠した製造設備を併設した。これにより、パイロット設備で行った治験原薬の製造プロセスをそのままGMP製造施設に落とし込むことができ、開発時間の短縮につなげることができる。同製造棟への投資額は168億円で、4月から稼働する。
小野薬品、子会社統合など欧米拠点の機能再編
小野薬品は2月28日、グローバル展開の拡大・加速に向けて、米欧拠点の機能を再編すると発表した。これまで米国で開発と販売、欧州などで開発を担当してきたオノファーマUSA(従業員約130人)の機能を、昨年買収した米デシフェラ・ファーマシューティカルズ(同約330人)に7月をメドとして統合する。デシフェラは米欧での開発・販売基盤を持っており、統合後は既存のがん領域のほか、他の疾患領域を展開する新たな事業拠点となる。法人としてのオノファーマUSAは研究提携活動、ライセンス活動を担い、関連してオノファーマUK(同約40人)は3月に開発機能を閉じ、研究提携活動の拠点として存続する方針。
杏林製薬、慢性咳嗽治療用アプリ開発で提携
杏林製薬は2月25日、AIを活用した咳モニタリング技術を手がける米ハイフと、慢性咳嗽治療用アプリに関する開発・商業化契約を締結したと発表した。これまで杏林が集積してきた呼吸器疾患領域の知見を活かして、同アプリの国内開発を進める。杏林は22年から難治性の慢性咳嗽治療薬「リフヌア」を販売しており、同アプリの投入によって両製品の相乗効果を狙う。杏林が導入した慢性咳嗽治療用アプリは、患者に行動変容を促して慢性咳嗽を軽減する非薬理学的治療法「BCST」に基づいたもので、ハイフの技術を活かしている。アプリは米国でも開発中の段階にある。
杏林製薬、スイス・ノバルティスとライセンス契約
杏林製薬は3月3日、自社創製したMRGPRX2拮抗薬「KRP-M223」と、そのバックアップ化合物について、スイス・ノバルティスとライセンス契約を締結したと発表した。同薬の開発、製造、商業化に関する全世界での独占的な権利を供与する。さらに、杏林は国内での商業化と日本での製造に関するオプションを、ノバルティスは国内商業化に関してコ・プロモーションのオプションを保有する。同薬はマスト細胞が関与する慢性特発性蕁麻疹などのアレルギー性疾患や炎症性疾患が対象で、杏林が前臨床試験を実施中。今後、ノバルティスが世界規模で開発していく。契約により、杏林は一時金5500万ドル(発表日の為替レートで約83億円)のほか、今後の開発、製造販売承認の取得。一定の正味売上高の達成によるマイルストンとして最大7億7750万ドル(約1169億円)、正味売上高に応じた段階的ロイヤリティを受け取る権利を持つ。