シリーズ『くすりになったコーヒー』


 以前に「コーヒーとダイエット」について書きました(第47話を参照)。つい先日、TBSテレビの系列会社から取材があって、「カフェインの脂肪燃焼効果」について教えて欲しいと頼まれました。


 企画によると、局アナと某大学教授の対話番組らしいので、「その教授に聞けば?」と正してみたら、カフェインのことは知らないとの意外な返事でした。「えっ!そんな番組ってアリですか?」とは言ってみたものの・・・「ヤラセとはこのことか」と感心して、あとの祭りとなりました。


 ということで、今月中に某大学の先生が得意気に話すであろう「カフェインダイエット」の中身を今日書いてしまうことに致します。たまたま番組を見てしまう方は、下の絵、またはそれに似たフリップが出てくるかどうか、是非注目して下さい。


 さて、コーヒーにはカフェインがたくさん入っていますから、ダイエットに役立ちます。ただし、コーヒーを飲んだだけでは絶対に効きません。


●コーヒーダイエットは、運動と組み合わせて初めて効果が出るのです。


「カフェインが脂肪を燃やす」とTVで話しているのをよく見かけます。でもこれはまったくの間違いです。「カフェインがアドレナリンを出して燃やす」と言う人もいますが、これもまったくの間違いです。お医者さんでも栄養士でも、時には薬剤師でも間違っています。ダイエットがそんなに簡単な訳がありません。コーヒーだって同じです。


●コーヒーでダイエットができるわけ(下の絵を参照)。


ダイエット効果に見られるコーヒーとスポーツの相乗作用



(障ネ)コーヒーのカフェインが脂肪組織に働いて、血液のなかにアディポネクチンが出てきます。


(障ノ)アディポネクチンは、血液のなかの脂肪酸を筋肉へ送り込みます。


(障ハ) 動動している筋肉が脂肪酸を燃やして、エネルギーに変換します。


 では、脂肪酸はどうやって補給するのでしょうか? コーヒーではできません。最善で唯一の方法は運動です。身体を動かさないダイエットなどありません。


(1)運動する。


(2)運動の刺激で脳が活性化する。


(3)副腎に向かう交感神経が興奮し、同じくホルモンが出て副腎へ向かう血液に入る。


(4)副腎からアドレナリンとコルチゾールが出る。


(5)脂肪組織で中性脂肪が分解して、血液のなかに遊離脂肪酸が出てくる。


(6)アディポネクチンの作用で、脂肪酸が筋肉に入る。


(7)筋肉が運動すると脂肪酸が燃焼してエネルギーに変わる。


 こうしてかなり複雑な運動生理学が働きます。そして有難いことに、カフェインの効果と運動の効果が、1+1≫2の相乗作用の法則に従って、3倍にも4倍にも強くなるのです。


☆☆☆スポーツの前にコーヒーを飲むと、相乗作用でダイエット効果が強く出る。


 アテネオリンピックまで、カフェインはドーピングテストで引っかかりました。北京からは、「カフェインは習慣性の弱い安全な飲み物」として無罪放免になりました。カフェインはスポーツの成績を上げるだけでなく、上手に使えば間違いなくダイエットに役立つし、成人病にもならずにすみます。


(第54話 完)


栄養成分研究家 岡希太郎による
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