■個別出展とパビリオン出展の違い
―「MEDICA2022」の東京パビリオンでの手ごたえや気づきは。
我々のブースに来ていただいたお客さまは4日間で100社ほどです。この他、有限責任監査法人トーマツのコーディネートで事前にアポイントを取った6~7社と、現地で商談や情報交換を行いました。クラウドを持つプラットフォーマーで、我々の製品を使って一緒にやらないかというお話は何社かいただきました。
ニーズに関しては国内外で大きな違いは感じませんでしたが、一度興味を持つととても積極的な方が多い印象でした。海外の展示会は決定権者が直接会場に来てどんどん交渉を進める場だからでしょう。
―東京パビリオンの中に出展するメリットは。
TOKYOやJAPANを前面に出すことで効果的に集客できることが一つ。我々はMEDICAも含めて、単独で出展した経験があるのですが、日本の国旗を出しFUJITAと書いても「知らないな」という反応でした。経産省のグラントを得て、FUJITA を一切出さず、“Japan Telemedicine Platform”という集合体で出展したところ、かなり集客できました。そこで継続して出展していこうとしていた矢先にコロナ禍に見舞われたのです。
自費で行くべきかどうか迷っていた時期に東京都のグラントを知り、渡航費以外は助成いただけることが魅力で応募した経緯があります。出展に伴う各種の手続きもやっていただけるので、自社製品に集中できる点も助かりました。
―海外展開にあたっては、欧州のCEマークや米国FDAの認可取得などが大変では。
社内に薬事の部署がありますが、CEマーキングがMDD(医療機器指令)からMDR(医療機器規則)になり、代理店から直接申請する届出制度から審査が2段階くらい格上げされました。今回の「MEDICA2022」においても「CEマーキングを取れているか」という問いに対し「これからです」ではもう先方のシャッターが閉まってしまうという経験をしました。FDAの認可についても同様です。
外部にコンサルをお願いすると、一製品群につき最低800~1,000万円かかります。東京都中小企業振興公社で支援策もありますが、一製品群に限り2分の1補助といった制度。予算上やむを得ないとは思いますが、同時に多くの製品を通すのは困難です。
―国立国際医療研究センターと東京都による「令和3年度 現地ニーズを踏まえた海外向け医療機器開発支援」(ベトナムの病院、保健局、医療機器協会のオンライン視察)や、北海道大学病院 医療・ヘルスサイエンス研究開発機構の「令和4年度 医療技術等国際展開推進事業」(BF療法の国際共同臨床試験推進に関するタイの研究者等との意見交換)などに、積極的に参加されているが、貴社にとってのアジア市場とは。
CEマーキングに比べると比較的規制が緩いASEAN諸国(シンガポールを除く)からまず攻めていく方針を立て、今まさにタイやインドネシアと協議しています。これから発展する市場で輸入に頼らざるを得ない時に、先方にとっては「自国の保険制度と釣り合いがとれるのか」「自分たちのニーズにマッチした製品か」「改変・改修の要望を反映してくれるのか」など難しい問題があると聞いています。
医療ツーリズムにも注目しています。タイやシンガポールは中東や中国の富裕層をかなり受けて入れています。現場での医療行為だけでなく、滞在中や帰国後もフォローアップできることが次に繋がると聞いていますので、まさに遠隔医療やデータのクラウド化、その閲覧などは今後も有用ではないかと考えています。